人を知る
PEOPLE SHINCHOSHA

Profile
1999年入社。
FOCUS編集部、小説新潮編集部を経て2005年より出版部。2021年よりyomyom編集室室長を兼務。
事件取材に興味があり、週刊新潮やノンフィクション月刊誌編集部のある新潮社を受験しました。雑誌の事件記事には、報道では伝えきれない「物語」があると思っていたからです。
入社後すぐに写真週刊誌FOCUS編集部に配属され、取材記者として様々な現場を取材させてもらいましたが、2001年に同誌が休刊。小説新潮に異動し、今度は「物語」が作品になる現場で働くことになりました。2004年に出版部に異動、主にエンタメ作品の書籍編集を担当し、「物語」が書籍となり、読者に届くまでを見届ける仕事に。2012年、出版部に在籍しながら、当時電子書籍だった「yom yom」編集部に加わり、WEB化に伴い編集長を拝命しました。
WEBマガジンとなった「yom yom」読者の9割は、スマホで記事を読んでくれています。記事の更新ペースも毎日更新から不定期掲載までさまざまで、主にSNSで情報を発信します。これまでの仕事では、著者に原稿を執筆してもらうことに重心を置いていましたが、WEBの仕事では、作品の魅力を誰に、どのタイミングで伝えるかをいつも考えています。
たとえば、月曜日には「やる気が出ないことを肯定してくれる」エッセイがあったらいいな、寒くなって来ると温かい食べ物が登場する時代小説が読みたいな……など、読者の毎日に寄り添うメディアであることを心がけながら、日々「物語」に接しています。作業内容は多岐にわたりますが、読者からの反応を直接感じられるのが楽しみです。入社してから四半世紀、活字との関わり方は大きく変化しましたが、「物語」の可能性はデジタルメディアのおかげでより一層広がっているように感じています。

入社後一番の思い出
どの編集部にも忘れられない思い出があり、一番を決められないのですが、どうしても挙げるとしたら……入社1年目の時、桶川ストーカー殺人事件発生時の取材チームに参加したことです。清水潔記者による執念の取材が「ストーカー規制法」を成立させ、『遺言――桶川ストーカー殺人事件の深層』という本になり、文庫化されて20年以上読み継がれていることを、就職活動をしていた学生時代の自分に自慢したいです。
ある日のスケジュール
- 6:00
- 起床、家族の朝食の準備。元気があれば、朝ヨガ。肩こりは職業病と言われていますが、ヨガをはじめてかなりラクになりました。
- 7:00
- 娘を学校に送り出し、急ぎのメールをチェック。予約投稿した記事がちゃんと配信されているかを確認。モルモットにごはんをあげ、ワイドショーを見ながら支度して出社。
- 9:30
- 出社。デスクでメールチェック、記事の内容をチェックして登録、予約投稿。ランチタイムにページを見てくれる読者が多いので、SNSを見ながら、どんなポストをするか検討。
- 11:00
- 出版部で刊行する単行本作品の作業。校閲からのゲラを確認し、著者とやり取り。書店とサイン会の打ち合わせ。
- 13:00
- 著者のYouTube配信のお手伝い。「新潮社らしい場所で」とのリクエストをいただき、新潮社クラブで収録。
- 15:00
- 夕方の帰宅時のピークタイムに向けて、配信スケジュールや、その日のトピックに合いそうな記事の紹介をポストする。
- 17:30
- 担当作家が受賞した文学賞の授賞式へ。この文学賞が立食で授賞式を開催するのは4年ぶりだそう。久しぶりに会う著者や他社の編集者と話が盛り上がる。
- 20:00
- 授賞式の二次会へ。人数制限なしの二次会が開催されるのも久しぶり。
- 23:00
- 他社の編集者たちと三次会へ。
- 25:00
- 帰宅。娘の寝顔を見ながら就寝。
Off-Time
ペットのモルモットに癒されています。モルモットは、鳴き声でコミュニケーションができるってご存知ですか。「プイプイ」「キュイキュイ」——。思考も言語も放棄してモルモットと交流している私を、家族が白い目で見ています。


就職活動中の皆さんへ
学生時代は、小説よりも映画とコミックが大好きでした。大学は文学部でしたが、国文学系の知識に自信がなく、コンプレックスでもありました。ですが、出版社を数社受験する中で、新潮社の面接官との趣味についての会話がとても楽しく、「この会社であれば、私が想像したこともないような未来に行けるかもしれない」と思って入社しました。ときどき振り返って考えて、その時の決断を反省することはありましたが、後悔したことは一度もありません。新潮社は、公私にわたり幅広いジャンルの引き出しを持っている人ばかりの会社です。「役にたつ」「ためになる」ことばかりではなく、「好きなこと」をたくさん持っている人と一緒に働いて、これからも自分の引き出しを増やしていきたいと思っています。