人を

PEOPLE SHINCHOSHA

出版部
N・Nさん

Profile

2010年入社。
新潮45編集部を経て、2014年より出版部。

 入社後すぐに配属されたのはノンフィクション月刊誌。私以外は社歴の長いベテラン編集部員ばかりで、当初は「自分に一体何ができるのか」という戸惑いのほうが大きかったです。でも、とにかくまずは名刺を出し、社名を伝えて取材を申し込むと、いろんな分野の著名な方が直接お話を聞かせてくれる。これは大学を出たての自分にはとても得難く高揚するような体験で、すぐに夢中になりました。

 今は出版部という部署で、主に小説の単行本の編集をしています。もともと入社時から文芸編集を志望していたので、最初の異動で希望の職種につけたのは嬉しかったです。

 単行本編集者の仕事は多岐にわたります。担当している作家の方に納得のいく作品を書いていただくために、一緒に取材に行ったり、次作について話し合ったりするところから始まり、執筆中に意見をお伝えしたり、原稿をいただいた後には「ここが素晴らしい」「こうすればもっとよくなる可能性があるのでは」といった感想や提案をフィードバックしたり。その後改稿のやりとりを経て、一冊の本として売り出していくための装幀や宣伝の方向性を社内担当者と相談しつつ決定し、さらには刊行後の取材などのアテンドをするところまで……。とにかく作家さんに伴走し、一冊の本を世に問うまでの一連のサポートとプロデュースが仕事です。つねに異なる段階にあるプロジェクト(作品)がいくつか重なって進行しているので、いわゆる編集者の仕事としてイメージされやすいだろう、「とにかく原稿を取り立てて、それを読む」(?)という像よりも、だいぶマルチタスクなのが実態。正直、複数の仕事を同時並行させるのはあまり得意ではないので、重なりすぎると目が回りそうになることもありますが、一冊の本が出来ていく過程にずっと関われるのは、やはりとてもやりがいがあります。

 また、既に活躍されている作家の方だけでなく、新たな才能を発掘する新人賞の運営や下読みも文芸編集者の大切な仕事。事務局をつとめている「女による女のためのR-18文学賞」の受賞作をはじめ、自社でデビューする方には、ひときわ強い思い入れがあります(たくさん読まれてほしい!)。

入社後一番の思い出

「一番」を決めるのは難しいのですが、「はじめて」と結びついていることが、やはり印象深いです。ひとつは、はじめての作家インタビューで、田辺聖子さんのご自宅に伺ってお話を聞かせていただいたこと。もうひとつには、はじめて自分宛に原稿をいただいた、大好きな作家・川上弘美さんの短いエッセイ。さらには、はじめて自分が執筆当初から刊行まで関わった一冊が書店に並んでいるのを見たとき。すみません、3つになってしまいましたが、どれもそのときの感動が本当に忘れ難いです。

ある日のスケジュール

9:30
起床。取材や出張がなければ朝はわりと遅め。ただ、働き方は個人の裁量に任されている部分が大きく、編集部には私のような宵っ張りとは真逆の、早めに来て早めに帰る「朝型」編集者も多数います。
10:00
ワイドショーを横目で見つつ支度、メールチェックなど。
11:00
作家さんと次作の構想についてリモート打ち合わせ。
13:00
出社。校閲から戻ってきたゲラをチェックし、編集者目線での疑問を書き加えていきます。
15:00
装幀担当者と打ち合わせ。この小説に合うのはどんなイラスト? それとも写真? 帯幅や紙の質感は?等々、作品の顔となるイメージを決めていくのは、毎度ワクワクしつつも悩ましい……。その点、社内に装幀デザイナーがいて気軽にいろんな相談ができるのはありがたいです。
16:00
プロモーション部や営業部と販売戦略の打ち合わせ。日々多くの新刊が書店に並ぶ中、担当作をどう売り出していくべきか、アイディアを出し合います。
17:00
メールで短編原稿を落掌! 待ってました! 最初の読者になれる喜びは何物にも代えがたいです。印刷して読み、感想をお送りします。
19:00
作家の方と会食。最近面白かったドラマや漫画から、次作の構想まで、美味しいものを食べたり飲んだりしながらだと話も弾みます。
23:00
帰宅。おすすめされた海外ドラマを早速視聴したり、気になっていた新刊を読んだり。
3:00
就寝。

Off-Time

 大学のサークルをきっかけに、アイリッシュハープの演奏を続けています。音楽を聴いたり弾いたりするのは大好き。大事な息抜きです(たまに趣味が作品に生かされることも……?)。

就職活動中の皆さんへ

 だいぶ前のことになってしまいましたが、就活中は、世間の「働いている大人」が皆偉く見えたような覚えがあります。でも、就活は、優秀かどうかみたいなことより、結局「相性」の問題が一番大きい気がします。だから、あまり落ち込んだりせずに、自分に合う企業を探すんだ、という気持ちで乗り切ってほしいです。
 自分という人間が企業側からどう見えるか、ということを意識しての準備や戦略はもちろん必要ですが(特にESから受ける印象を覆すような意外性の演出は食いつかれやすいし話を展開させやすい)、かといって、合わないところに無理に自分を合わせても後々大変で、「中の人」との相性が良さそうな企業とうまくマッチングするのがベストなはず。私自身の経験を振り返っても、面接官との雑談(?)がなんだか楽しくて、会話のキャッチボールが続くところは、通りやすかったです。準備はしっかりしつつ、面接では会話を楽しむことを意識する、がおすすめです。


人を

ホームへ戻る