人を

PEOPLE SHINCHOSHA

小説新潮編集部
M・Yさん

Profile

2020年入社。
週刊新潮編集部を経て2022年から小説新潮編集部

 入社後すぐに配属されたのは「週刊新潮」編集部でした。コロナ禍での入社だったので、最初の一年は期待していたような芸能人への直撃や、張り込みなどを担当することは少なく、ひたすら電話で医師や感染症の専門家への取材をしていました。二年目には、東日本大震災から10年経った被災地の取材を担当しました。一人で南気仙沼、陸前高田などをまわり、今を生きる人々の話を聞かせてもらった経験は忘れられません。 事件取材では、娘を亡くしたお父さんに取材をしました。門前払いを覚悟していましたが、ぽつぽつと語ってくださった娘さんとの最後の瞬間など、卑劣な犯罪によって踏みにじられた人の言葉を伝えたいと思いました。

 現在は「小説新潮」という月刊誌の部署にいます。「小説新潮」には、小説はもちろん、エッセイや漫画、ノンフィクション、インタビュー記事などが掲載されており、私も小説とエッセイの連載を担当しています。毎月の特集テーマにあった企画を考案し、インタビュー取材や、対談、座談会を主催することも。作家さんから原稿をいただく以外にも、自分のやりたいことが実現できる部署です。

 皆さんはどれだけ文学賞をご存知でしょうか。恥ずかしながら、入社するまでは有名どころの文学賞しか知らなかった私も、今では文学賞、とくに新人賞には目を光らせています。一年のうちに100近くもの新人賞があり、「小説新潮」でも「女による女のためのR-18文学賞」「新潮ミステリー大賞」「日本ファンタジーノベル大賞」と3つの賞を運営しています。毎年何十人もの作家さんがデビューしているのですが、作品を読んで「これは!」と思ったときには連絡をします。どうしたら面白い作品になるか、作家さんとテーマ探しや登場人物の設定など打ち合わせを重ね、新しい作品作りを目指す日々です。

入社後一番の思い出

 異動して初めて特集企画を担当したことです。テーマにあった短編小説を数本、エッセイや漫画、短歌など自分のやりたいこと、読みたいものをぎっしり詰め込んだのですが、会議で先輩方や、編集長の助言をいただいたおかげで、余すところなく実現することができました。学生時代から大好きだった歌人の方に、短歌を書き下ろしてもらい、文字のサイズ感や、傾き加減など、ページデザインにも一からこだわることができたのも良い思い出です。「小説新潮」に短歌を掲載したことは過去あまりないようで、実現できるか不安でしたが編集長に相談したところ「面白そう! やってみて」と背中を押してもらいました。また、新潮社にはまだ原稿をいただけていなかった作家さんにも「企画が面白そうだから」と寄稿していただくことができて、新しい関係を築くきっかけになりました。

ある日のスケジュール

9:30
起床。飼い猫2匹を探し、挨拶。
10:00
メールチェック。校了間近のため、作家さんから原稿をいただいたりなど、毎日やりとりがあります。
10:30
録画したバラエティーを見ながら朝食(?)。出張や取材などの予定がなければ、基本朝は遅め。働き方は個人の裁量に任されている部分が大きいため、出社時間などは自由です。
12:30
作家さんとランチ。担当している作家さんと打ち合わせをかねて昼食を飯田橋にて。連作短編のテーマを考える。
15:00
出社。お原稿を拝受。拝読してすぐさま感想をメールで送る。自分がはじめての読者だという感覚、その喜びはいつまでも薄れません。
16:30
原稿を入稿。文章の始まりと終わり、文字の体裁などを指定します。今ではリモート入稿が可能なので、どこにいても入稿ができます。
17:30
来年2月号の企画準備のため京都のお寺に取材依頼をする。今月号の作業をしながら、先々の準備を常にしています。
18:30
作家さんと会食。退職された先輩編集者の引継ぎのため、初めてお食事をご一緒することに。自宅本棚にたくさんお名前が並んでいる作家さんだったので、大緊張。
22:30
帰宅途中。自宅から会社までは1時間程度なので、電車では必ず本を読みます。
23:00
帰宅。夜のニュースを見ながら、就寝準備。録画したドラマも一本くらいは見る。ドラマは毎クール、ほとんど録画します。だんだん脱落していき、最後は数本になりますが、今クールはなかなか生存率が高いです。
25:30
就寝。

Off-Time

 中学生の時、吹奏楽部だったのですが、高校では習い事を優先してしまい入部できず。不完全燃焼だったため地域の吹奏楽団に入り、毎週日曜日汗を流しています。担当楽器は打楽器で、先日は演奏会にも参加しました。

就職活動中の皆さんへ

 経歴や成績、資格など目に見える結果も大切だと思いますが、自分の中に蓄積していることが何より物を言うなと入社して感じています。何を読んで、何を見てきたか、何が好きなのか。そのとき何を感じたか。そういった小さな積み重ねを、就職活動中に掘り返してみてください。面接の場で、きっと役に立ちます。そして、それらは入社するまで大事にしまっておいてください。作家さんは普段の会話など、意外なところからアイデアを見つけるため、見せられる引き出しは多ければ多いほど良いです。
 就職活動は長く辛いかもしれませんが、自分とこれだけ向き合える時間は、社会人になってしまうと少ないと思います。滅多にない機会を楽しんでください!


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