人を知る
PEOPLE SHINCHOSHA

Profile
2002年入社。
コミック事業部、コミック@バンチ編集部、ゴーゴーバンチ編集長を経て、2018年より月刊コミックバンチ編集長。
「新潮社に漫画なんて、あったかな?」という方も多いかもしれません。『月刊コミックバンチ』が創刊されてから11年、Web漫画サイト『くらげバンチ』がオープンしてから9年。業界的にはまだ新興勢力といった感じでしょうか。誰もが知る国民的漫画があるわけではないので世間的な知名度はまだまだですが、実は自慢のヒット作がたくさんあるんです。『死役所』『極主夫道』『鹿楓堂よついろ日和』と毎年のように連載作品が映像化され、今年は『応天の門』が宝塚歌劇で舞台化されるなど注目度上昇中。新潮社のコミック事業本部は今まさに伸びている部署なんです。
さて漫画編集者と聞いて、どんなイメージをおもちでしょうか? 「打ち合わせや取材が昼夜問わず入って忙しそう」
「校了中は帰れなくて編集部に寝泊まりしてそう」。面接をしているとそんな声を聞くことがあります。私の新人時代はまさにそのイメージ通りでした。しかし昨今はデジタル化の影響で効率よく仕事ができるようになりました。ノートパソコンやiPadがあれば場所も時間も自由に仕事ができるようになり、以前は資料の紙束でごったがえしていた編集部のデスクが、IT会社のようにすっきりと整頓されました。ここ数年で今までのイメージが一新されるほどの変化です。効率化された分、従来の漫画編集者の枠に収まらない仕事(メディアミックスやSNSを使った宣伝など)や、担当作品の数を増やせるなど、より有意義なことに時間を使えるようになったことは画期的です。
これからの編集部の目標は、大ヒット作を作りたい! これにつきます。『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』のような時代を彩る作品を生み出せたら最高ですよね。新人もベテランもキャリア関係なく、この仕事に携わっている限り可能性はゼロではないので常に狙っていきたいと思います。そういった意味で漫画編集者は夢のある仕事ですよね。

入社後一番の思い出
一番を選ぶことは難しいですが、やっぱり担当作品がメディアミックスされた時は嬉しいですね。漫画家さんと二人で大切に育て上げた作品の晴れ舞台。放送日はいつもよりちょっとだけいいお酒を飲んでお祝いします。
ある日のスケジュール
- 午前中
- 時間に余裕がある時は読書、ドラマをチェック。地上波のTVドラマは毎クール2~3作品はお気に入りを見つけたい。小説やドラマなど別ジャンルから漫画作りのヒントを探します。
- 13:00
- 担当作品のコミックス作業。書店で並んでいるところを想像しながら、帯の文言を考えたり、カバーデザインを選んだりしています。
- 17:00
- 漫画家さんと打ち合わせ。昨今はオンラインも増えましたが、喫茶店や仕事場での対面打ち合わせの方が好き。たまには珈琲とスイーツでリラックスしながら。漫画家さんとの楽しいひととき。
Off-Time
休日は子供と公園でサッカーやキャッチボールをして楽しんでいます。永年の運動不足がたたり全く思ったような動きができませんが、ストレス発散になっています。

就職活動中の皆さんへ
今まで多くの編集者や漫画家さんを見てきて思うのは、当たり前ですが人は一人ひとり違うということ。すぐに結果が出る人もいれば、要領が悪くて最初はなかなかうまくできない人もいます。何にでも興味をもって飛び付く人もいれば、慎重でじっくりと構える人もいます。もちろん早くに成功したとしても、そのまま持続できるとは限りませんし、人生の山は人それぞれ、正解なんてありません。採用サイトの社員インタビューを見ると、皆キラキラしていて、好奇心旺盛でアグレッシブで、どこからみても優秀な人ばかりに感じてしまいがちです。自分なんて…と気後れしてしまうかもしれません。でも多分大丈夫です。どんなタイプの人でも、それぞれの個性と特性をいかして活躍できるのが漫画編集者のいいところだと思います。
かくいう私は学生時代やりたいことが見つからず、特技も個性もなく、ぼんやりと過ごしていました。もちろん就職したい業種も会社も見つからず、ぎりぎりまで動けませんでした。ただ小説が好きだった、新潮文庫が大好きだった、その思いだけは強くあったかもしれません。そして縁があった「新潮社」ですが、就職前には想像もしていなかった漫画編集者という適性を見いだされることに。結果、今も毎日楽しく仕事をやり続けているんですから、自分では何が向いてるかなんてわからないものです。失敗もたくさんしましたが、思い返してみると、やりたいことをのびのびとやらせてもらえたのが良かったかなと思います。さすが創業125年の老舗出版社です。懐が深い(笑)。
一人でも多くの方に新潮社で仕事をしてみたいな、漫画編集者って面白そうだなと思っていただけたら嬉しいです。
